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野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む

もはや郵貯に国債消化を頼るしかない!?
日本の資金循環構造のジレンマ

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第44回】 2009年11月7日
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 日本の資金循環構造において1990年代以降に起こった最も大きな変化は、企業の借入残高が減少し、その半面で国債残高が増大したことだ。つまり、資金の流れは、「民から官」へと変化したのである。

 このような経済全体の資金の流れの変化は、郵政民営化というカレント・トピックを考える際にも、大変重要な意味を持つ。そこで、以下では、過去15年程度の間に起きた資金の流れを概観してみることとしよう。

 まず、2008年度末までの企業(民間非金融法人)の借入金残高をみると、【図表1】の棒グラフの1番下部分のとおりだ。1990年代には500兆円を超えていたが、90年代の末から顕著に減少を始め、08年度には300兆円強までになった。02年以降の景気回復にもかかわらず、企業の借入は増加しなかったのである。95年度末と08年度末を比べると、企業借入残高は約200兆円減少している。

 他の手段による資金調達もさして増加しなかったので、企業の金融負債残高は、90年代後半以降、(06、07年度に若干増加したことを除けば)ほぼ一貫して減少を続けた。これは、90年代後半以降、日本経済が停滞に陥り、企業の投資資金需要が減退したことの反映である。

 08年度末の企業部門の金融負債残高は、前年比マイナス6.5%の802兆円となった。この減少幅は、過去最大である。大幅な下落となったのは、企業間・貿易信用が前年比マイナス24.9%と大きく減ったためだ。この残高は、88年度末の766兆円以来の低水準である。なお、借入は前年比4.0%の増加となった。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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