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山崎元のマネー経済の歩き方

投資教育が教えない禁断の四択問題

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第191回】 2011年8月29日
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 簡単な問題を考えてみてほしい。あなたは金融機関の窓口で「新しい(魅力的な)金融商品」を勧められたとする。取るべき対応として正しいのは次のどれか。

(A)余裕のあるおカネで買ってみる。

(B)その商品の内容について、納得がいくまで相手に聞く。

(C)インターネットなどを使い自分で調べて検討する。

(D)調べも買いもしない。

 この種の選択問題は、筆者のような素人が作ると、3番目あたりに正解があることが多い。極端な(A)と(D)は正解ではあるまい。「自分で調べて検討する」という(C)は、本連載の路線に最も近い。

 投資関係の情報提供や教育にかかわることの多い筆者としては、(C)を推したいのはやまやまだが、現実の問題は、前提によって答えが変わることがよくある。じつは、四つの選択肢は、当事者の事情によってすべて正解になりうる。

 「おカネ持ちだけれども友人のいない寂しがり屋」にとっては、(A)が正解となる可能性がある。じつのところ損得は問題ではないのだし、金融業者は、こうした顧客のことをずっと構ってくれるだろう。売る側から見ると「セールスで売るのは、商品ではなく自分(人間関係)」が心構えとなる。

 マネー誌や雑誌のマネー特集で結論になりやすいのは(B)だ。しかし、「納得するまで内容を聞く」という態度は、カモが自分が煮えるまで鍋の中で待つというのに近い。プロの力量を見くびってはいけない。窓口の担当者は、明白な嘘や法律違反を巧妙に避けながら、あなたを「納得する」ところまで誘導するだろう。だが、「おカネも時間もあって、自分で物事が決められない人」(現実には少なくない)にとっては、この選択肢に最も安心感があるかもしれない。また、筆者のような仕事の方はこれを結論にしておくと、金融機関が主催する講演やセミナーの仕事がたくさん入るかもしれない。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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