中国で猛烈普及の「乗り捨てシェアサイクル」が生む新たな混乱上海の街中で急速に普及している乗り捨て型のシェアサイクル Photo by Konatsu Himeda

 中国で、乗り捨て自由なシェアサイクルが猛烈な勢いで普及している。

 中国のビッグデータリサーチ社の「2016中国シェアサイクル市場研究報告」によれば、2016年末、中国のシェアサイクル利用者数は1886万人に上り、2017年末には5000万人に達することが見込まれている。中でも上海は、その利用登録者数と実際の稼働率が最も高い都市だ。

 中国において自転車の利用が盛んになったと言えば、何も今に始まった現象ではない。1980年代まで「自転車」自体が中国のイメージだったように、自転車専用の広い道路に見る都市計画は、中国が「自転車大国」だったことを象徴するものだ。

 本格的なモータリゼーションが到来する前夜の1997年、上海で生活を始めた筆者が真っ先に購入したのも自転車だった。当時は上海といえども、地下鉄はわずか2線のみ、マイカーも普及しておらず、自転車なしには移動が不可能だったからだ。

 自転車利用者にとって、盗難は最も頭の痛い問題だったが、2000年代初頭には電動自転車の出現とマイカーの普及により、それも消えてなくなった。スピードの出ない自転車は次第に「時代遅れな乗り物」になり、社会から見捨てられていったためだ。