きょう(9月2日)、野田政権が正式に発足した。

 小泉元首相の例を見るまでもなく、政治における人事は重要である。人事によって内閣の生き死にが決し、その命運が決まるといっても過言ではない。

 だからこそ、政治記者たちは血道を上げて、閣僚人事の取材に当たるのだ。

 政治記者である彼らに言わせれば、財務、外務、官房が最重要ポストということになるのだろう。だが、それは平時の感覚だ。少なくとも、今回の組閣ではその常識が通用しない。

3.11以降の日本は“戦時体制”
最重要閣僚ポストも変化した

 3.11以降、日本は明らかに戦時体制に入った。放射能という目に見えない脅威と戦い続けなくてはならない非常事態が到来したのだ。しかも、それは数年、いや数十年の戦いを余儀なくされている。

 こうした国家の環境変化に伴って、最重要の閣僚ポストも明らかに変化したのだ。

 具体的に挙げれば、原発、環境、経済産業、厚生労働、文部科学、農林水産、官房こそが、内閣どころか、日本の命運を決する重要ポストということになるだろう。

 原発事故による放射能漏れを止めない限り、日本の将来はないのだ。外交や財政でいくら素晴らしい政策を訴えても、放射能が出ている限り、国の行く末は限定される。

 現状認識ができているとは思えない野田首相を助けるのは、そうしたポストに就いた顔ぶれである。

 今週のコラムでは、放射能事故に対して重要だとみられるそれら大臣について、各々、講評を加えることにする。