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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

夕陽と西日の受け止め方に見る
インバウンド観光ビジネスの新視点

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第69回】 2011年9月8日
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 沖縄の離島に特別の思いを抱く。いつかはじっくりと離島を取材してみようとずっとタイミングを狙っていた。日本政府は今年7月から、沖縄を最初の訪問地に選んだ中国人観光客に対して3年間有効の数次ビザを発給するという観光促進措置に踏み切った。そこでタイミングが来たと判断し、8月下旬に石垣島、西表島、宮古島を回り、離島の豊かな観光資源を2泊3日という駆け足の日程で取材した。

 石垣島への訪問ははじめてではない。1993年5月に、東京から約2000キロ離れた石垣島を訪れたことがある。中国人密航者の生態を描く拙著『蛇頭』を執筆するため、密入国の舞台となった石垣島の現場を検証するための旅だった。

 「早朝東京を出発し那覇で乗換えして石垣島に到着したのは、5月23日の昼下がりだった。空港を出ると燦々と輝く南国の太陽の光に、青々と茂る熱帯植物が目に沁み入るように美しかった。……

 星野海岸一帯は、珊瑚礁が密集しており、水深が浅く、大型船が接岸できない。海岸は平らかな砂浜が緩やかに海へと伸びていき、いたるところに海浜植物が這っている。注意して歩かないと、靴も靴下もすぐに濡れてしまう。沖へ目をやると、白い細糸のようなものが島を囲む形で続いているのが沖合の青い波間から見える。それは海岸を守るためのリーフ(洋上防波堤)である」

 以上は、拙著『蛇頭』にある石垣島の風景描写の一部だ。しかし、その時は観光資源に対するための取材ではなかったため、石垣島一番の観光スポットといわれる川平湾には取材の合間に立ち寄ったものの、その他のビューポイントはチェックする時間的余裕がなかった。いつか、ゆっくり訪ねてみたいという思いを胸に刻み込みながら、那覇行きの飛行機に乗り込んだ。あれ以来、18年の歳月が流れ去った。『蛇頭』も今や絶版となり、ほとんど入手不可となってしまった。

 再び、石垣島の土を踏みしめた私は感慨深いものが胸中を去来しているのを覚えた。島の変化にも気付いた。密航者の密入国の舞台だった島は今や中国人観光客の誘致に燃えている。

 昼食はカフェレストランBellverで取ることになっていたが、案内役を務めるJAT商事のT所長から「あのレストランは予約を受け付けないので、早く行かないと席が取れなくなります」と言われたので、開店前に到着した。周辺に若い男女が運転する車が何台も止まっているのを見て、その静かな人気ぶりに驚いた。エーゲ海の白い建物を連想させるレストランが紺碧の海を見下ろす絶壁の上に立っている。食事する前から、何組もの若いカップルや若い美女グループがはしゃいでいた。海をバックにポーズを作って写真を撮ったかと思うと、今度は動画の録画に夢中になったりしていた。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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