野田佳彦首相は、高校時代に柔道部だったというが、「柔道一直線」ならぬ、財務省の戦略通りに「増税一直線」だ。新内閣発足直後に実施された世論調査では、いずれも内閣支持率は60%前後と高い。また、東日本大震災の復興増税に関しても、賛成派はほぼ半数に上った。
ご祝儀もあるだろう。また、復興増税では新聞各紙が気持ち悪いくらいに賛成している。そうした新聞を読む人を対象にすれば、増税賛成が多いのも頷ける。また、新聞では増税以外の財源を示さずに調査しているのも、賛成を大きくする要因だろう。
野田政権が進める
増税3段跳び
野田政権の進める増税は、復興増税、社会保障、財政再建の「3段跳び」の早いペースで進むだろう。まず「ホップ」は10月にもまとまる3次補正予算での復興債償還のために復興増税だ。基幹税ということだが、所得税増税が中心だろう。
「ステップ」は今年の12月中旬頃。来年度の税制を決める『税制大綱』で社会保障費の財源を確保するため、消費税増税が議論され、年明けの通常国会に提出されるだろう。年内で一気に増税路線となる。
最後の「ジャンプ」は、「ホップ」「ステップ」では復興予算と社会保障の財源措置だけなので、まだ財政再建とはいかない。そのため本格的な財政再建のために増税、これもおそらく消費税の税率アップが狙われるだろう。
第1に、「ホップ」の復興増税はどうなるか。今のところ3次補正予算規模は13兆円、その財源は税外収入が3兆円、復興債が10兆円。安住淳財務相は税外収入を3兆円から4兆円にして、復興債を9兆円としようとしている。ここで復興債はつなぎ国債なので、その発行額が増税になる。
当初は5年間くらいの増税期間であったが、最近ではさすがに増税の影響が大きいということで、20年という案もでている。財務省もいろいろな財源を探られるのはイヤなので、期間の話へと誘導しているようだ。これだと、確かに1年間の影響は少なくなるが、税が恒久化するおそれも出てくる。増税しないで済むなら、そのほうがいい。