僕がシンガポールに渡った理由【孫泰蔵】Photo by Aiko Suzuki

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 今年1月、シンガポールに移住しました。僕が代表を務めているMistletoe(ミスルトゥ)の駐在員第1号となりました。ただし、期間は数年間に限定の予定です。

 なぜ移住したのかといえば、それはあるプロジェクトを進めているからです。これが実を結べば、僕の目指している「コレクティブインパクト」を生み出すことにもつながるという考えがあります。

 どういうことかといいますと、現在、ミスルトゥではスタートアップなど国内外50社以上に直接的に投資をしています。関連ファンドを通じての投資まで入れると、合わせて200社ぐらいに投資をしています。

 各社とも、それぞれがさまざまなイノベーションを起こしています。その一つ一つの力は、それはそれで、世の中に大きなインパクトを与えられるものだと思います。ですが、その力を僕たちが束ねることで、個社では果たせなかった社会の大きな課題まで解決できるかもしれないと考えました。

 それを「オーケストレーション」と呼んでいます。異なる音色を重ねて、オーケストラをつくり、素晴らしい音楽を奏でていく。僕たちが交響楽団のような存在になることで、社会に大きなインパクトを与えられると考えたのです。

ベンチャー企業を束ねてオーケストラを指揮する

 僕たちの役割は、ベンチャー企業に投資をするだけでなくその活動を支援することです。

 ミスルトゥは英語で「宿り木」という意味がありますが、オーケストラの指揮者のように「コレクティブ・インパクト・コミュニティー」を担っていく存在になることなのです。