旬を楽しみ、身体が喜ぶ 江戸料理
【第5回】 2011年9月22日 車 浮代

脂の乗った旬の「秋刀魚《さんま》」は、
栄養豊富な庶民の味わい

 秋を代表する魚と言えば、秋刀魚です。

 脂の乗った秋刀魚が、網の上でジューっと焼けているさまを想像するだけで、ゴクリと唾を飲み込んでしまう方も多いのではないでしょうか。

 そんな秋刀魚が、なんと6000本+5000本。

 9月4日(日)には被災地である岩手県宮古市から、9月18日(日)には宮城県気仙沼市から東京の目黒に届けられ、今年も「目黒のさんま祭(り)」が賑やかに開催されました。

 平成8年からスタートしたこの祭、16回目を迎えた今年は、被災地復興の願いもあって、4日には30000人、18日には27000人と、昨年を大きく上回る来場者数があったそうです。

秋刀魚の梅煮
【材料】秋刀魚…2本/塩…少々/水…1カップ(200ml)/酒…0.5カップ(100ml)/みりん…大3さじ/醤油…大さじ3/梅干し…2個
【作り方】①秋刀魚は頭と腹を取ってきれいに水洗いし、塩を振って5分ほど置く。水気を切ってから、5cm幅の筒切りにする。②1を鍋に入れ、水と酒を注いで強火にかける。煮立ったらアクをすくって中火にし、みりんと醤油、ちぎった梅干しを種ごと加える。③落としぶたをし、煮汁がなくなるまで15分ほど煮る。

 この祭を始めるようになったきっかけは、言わずと知れた古典落語『目黒のさんま』から。

 江戸時代。とある大名が、馬の早駆けで目黒に行き、空腹を覚えたので、百姓家で焼きたての秋刀魚を分けてもらい、「こんなに旨い魚は初めて食った」と感激します。

 その美味しさが忘れられずにいたところ、親類から食事会に呼ばれたのを機に、「秋刀魚の塩焼きなるものを所望したい」とリクエスト。

 ところが料理人は、お殿様に出すものだからと、秋刀魚をわざわざ蒸して、脂を抜いてから塩焼きにしてしまいます。

 カスカスの不味い秋刀魚を食べたお殿様、がっかりして、「この秋刀魚はいずれより取りよせたものぞ?」。「日本橋魚河岸にてございます」。「それはいかん。やはり秋刀魚は目黒に限る」。

 日本橋魚河岸から取り寄せた一級品の秋刀魚が不味いわけはなく、殿様の無知を笑ったおとし噺です。

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旬を楽しみ、身体が喜ぶ 江戸料理

栄養価の高い旬の食材を、あまり手を加えずにいただく――。これが江戸料理の醍醐味であり、健康長寿につながる正しい食のあり方だと思います。このコラムでは、江戸料理と健康をテーマに、食材ごとの情報とレシピをご紹介していきます。

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