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高橋洋一の俗論を撃つ!

増税ムードを作りたい
野田政権の姑息な手口

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第22回】 2011年9月22日
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 増税一直線の野田政権は、着々と増税の環境作りをしている。一見関係ないと見えるなにげない閣僚などの一言にも、その背後には、増税やむなしのシグナルが隠されていることがある。

枝野氏が経産相就任に
際してつけた条件

 鉢呂吉雄前経済産業相が9日間で辞任して、後任には枝野幸男氏が就任した。若いし弁舌さわやかな政治家だ。官房長官時代にも、原発事故の説明で連日わかりやすくタフに記者会見していた。

 しかし、その情報公開の内容は疑問がある。SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報を有効に活用したのか、情報を適切に国民に開示したかについては、じっくりと検証する必要がある。私は震災直後のあるテレビ番組で、SPEEDIの存在や政府が開示していないことを指摘したが、その情報がいち早く公開されていれば、同心円状の危険区域設定には、何の根拠もないことがわかっただろう。

 それと、枝野氏とあるテレビ番組で議論したことがあるが、その際、ちょっと信じられないような発言があった。それは、枝野氏が「金利を上げると経済成長する」といったのだ。

 それは絶対あり得ないから、訂正したほうがいいといったが、まったく受け付けなかった。借り手または金融仲介する金融機関から所得を資金の出し手に移転すれば、経済は成長するというロジックらしい。

 金利の上げ下げは、資金の出し手と借りての間の所得移転だ。しかし、リスクをかけて借金してまでも事業を行おうとする借り手のほうが、資金の出し手より経済成長のためには必要だ。だから金利を上げると経済は萎縮する。こうした趣旨のことをテレビ番組で話した。

 その枝野氏が経産相になったのだから、経済成長を目指してもらいたいと思っていたが、就任時にとんでもない発言をしていた。報道によれば、枝野氏は、「『人口が減少する日本は、大きな経済成長はしない』というのが私の持論だが、それでよろしいか」と就任に条件を付けたが、野田総理は「それで結構だ」と応じた。

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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


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