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金融市場異論百出

耐久消費財は米国でもデフレ
商品力なければ泥沼競争続く

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2011年9月27日
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 もし日本が農産物の輸出大国だったら、今の円高はさほど問題視されないだろう。20年前の1991年8月末のドル円レートは、136.85円だった。今年8月末は76.5円なので、円は44%上昇した。しかし、米国の小売り価格において、牛肉・羊肉はこの20年で89%上昇している。コーヒーも98%、ジャガイモはなんと140%上昇だ。

 米国の消費者物価指数全体はこの20年に66%も上昇した。そのうち、非耐久財価格は+70%、サービス価格は+81%だ。日本の消費者物価指数は20年間で+2%だから、ほぼ横ばいである。8月27日号でも述べたように、米国で売られている日本製品が、現地のインフレに沿って値上げされてきたなら、為替レートは大幅な円高になっていても、日本の輸出企業は赤字にならないはずだ。

 ところが、日本の製造業が勝負している耐久消費財は、米国では20年で▲2%というデフレだ。特にテレビは91%の下落である。日本を含む東アジアのメーカーは泥沼の価格競争に陥っている。

 今回の円高によって、企業の規模を問わず、多くの日本の製造業が生産拠点を海外に移転することを決断あるいは検討している。しかし、海外に移転しても、消費者を魅了する付加価値の高い商品を作ることができなければ、品質面の差がより小さくなっていく韓国・台湾・中国メーカーとの価格競争は果てしなく続くだろう。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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