>>(上)より続く

「何度も講習を受けさせてくれる店に入店しました。やっぱり覚えられないから何度も受けて、その日の仕事で疑問点があれば講習で解決して、講習が厳しいと噂の他店にも学びに行って。半年かけてやっと覚えられました」

 その間も勤務はしていたが、「ある程度の技術がないと、稼げないんだ」と常に実感していた。ソープ嬢にとって“技術”は、加年するごとに重要性を増すという側面もあったのだ。

「当時、私は40歳前後までしか見たことがありませんが、もっと年上のお姉さん方はたくさんいるようです。そういった方たちが20歳の新人と同じく『わかんな~い』と言うとしたら、お客様はきっと唖然としてししまうと思います。30~40代は、それ相応に求められることを把握できているかどうか、ですね」

 相応の要求――技術力、キャラクター、気遣い、マナー、礼儀。そして店にとっては、集客力や、馴染みの指名を何人持っているか。

「技術などをウリにしていない人は、人妻ヘルス店などと相性がいいかもしれません。ですが、稼ぐならやっぱり、ならではの“ウリ”は要りますよね。容姿や会話力をはじめ、1日にたくさんこなせる体力があるかとか。ですが、何もないとなると、業界内をうろうろとすることになるかもしれませんが……」

印象に残っているのは
「しっかりしている人たち」

 紫藤さんの周囲にも、漂流していた風俗嬢は存在したが、対照的に印象に残っているのは、「しっかりしている人たち」だという。

「そんなにはいませんでしたが。“風俗嬢であることが苦しく辛い”という子たちは、頑張っていましたね。一刻も早く、必要な金を稼ぐために。理由はさまざまで、借金やカードローン、奨学金返済、医学部の学費、開店資金、留学費用とか。OLをしていて月18万円じゃ暮らせないからと、貯金を貯めるために兼業している子もいました。ああ、確かに兼業OLは、貧困問題と結びつくかもしれませんね」