弾道ミサイルが日本上空を通過し、6度目の核実験が行われるに至って、北朝鮮リスクに対する日本人の危機感はいよいよ高まっている。日本にとって、北朝鮮の核・ミサイルの脅威はどれほどのものか。また、「万一のとき」にはどのように我が身を守ればいいのか。防災・危機管理アドバイザーとして活躍する山村武彦氏が詳しく解説する。

 北朝鮮の核・ミサイルリスクが高まるなか、私は先日韓国に渡って、現地の様子を見て来た。韓国では年に一度、北朝鮮の攻撃に備えて避難訓練を行っている。ソウルでは今年も、8月23日15時から約15分間、街中の自動車を全て停車させ、地上にいる人々を地下やシェルターに避難させる大規模な訓練が行われた。

 ソウルは北緯38度線に近く、ミサイルはおろか砲撃の対象にさえなりかねない危険な立地にある。だが、国民の間では「実際には北が攻撃してくることなどないだろう」という意見が大勢を占めている。「北とはあくまで休戦状態であり、戦争は終わっていない」という緊張感は10年くらい前まであったが、その反動のせいか、最近は意識がかなり低下している。

「今はロシアや中国がバックアップしていないから、北が単独で仕掛けてくることはないだろう」「いくらなんでも、同じ民族にミサイルなんて撃ち込むはずがない」という漠然とした期待感もある。

 とはいえ、韓国の国民感情は複雑だ。「北が核を開発した以上、戦争になったらどうせもう終わりだ」と諦めている人も多いように感じる。1950年代の朝鮮戦争で家族を失った人が多く、また兵役もあるため、彼らの意識は「現実を知っているからこその達観」と捉えることもできる。これまで北の脅威に対して危機感が薄かった日本人と比べて、似ているようで根本的に違うのだ。

日本で高まる危機意識
北朝鮮は核実験をやめない

 ここにきて、いよいよ日本人も危機意識が薄いままではいられなくなった。8月29日早朝に北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本上空を通過し、続く9月3日に北朝鮮国内で6回目となる核実験が確認されて以来、一気に緊張感が高まっている。「もしも北の核やミサイルに攻撃されたら?」「生き残るにはどうしたらいいのか?」といったことがメディアで取り沙汰されている。

 実際、日本人にとって北朝鮮の核・ミサイルのリスクはどれほどのものか。また「万一のとき」にはどういう行動をとればいいのか。私の経験や研究を基にお伝えしよう。