会社の指示なら早朝出勤も残業!
休日出勤、深夜残業の割増はいくらになるか?

 法定労働時間の1日8時間、週40時間には、時間帯や曜日の規定はありません。たとえば、1時間の昼休みを除く9時~17時までを勤務時間とする会社の社員が、上司の命令によって早朝7時に出勤し、17時まで勤務した場合、1日の労働時間は9時間となりますから、1時間分は法定外労働時間、すなわち法律上の「残業」に当たります。

「私は朝型だから」とか「通勤ラッシュを避けたい」という個人的な理由で自発的に朝早く出勤して仕事をしている場合は別です。上司がそれを知っているとしても、命じたわけではないので残業には当たりません。

 では、月曜日から金曜日の9時~18時まで(昼休みを除く)を勤務時間とする会社の社員が、上司の指示により土曜日に3時間働いたとしたらどうでしょう?

 週43時間労働になりますから、法定労働時間を超えた3時間部分は残業に当たります。割増賃金の対象にもなります。

 ただし、月曜日から金曜日の間に祝日があると、普通に休んだとしたら週40時間を超えないので残業には当たりません。

 ところで、労基法には休日の規定もあり、「毎週少なくとも1回の休日」(35条1項)、もしくは「4週間に4日以上の休日」(同2項)が義務づけられています。

 休みが週1日、つまり週6日制の会社の社員が、週1回の休日に出勤した場合は、「休日出勤」になります。休日出勤は、時間外労働(残業)の割増率(25%以上の割増。1カ月60時間を超えると、大企業の場合は50%以上割増)よりも高い35%の割増賃金を払わなければなりません。

 週休2日制の会社がその1日分、たとえば土曜日に出勤させたとしても、休日労働には当たりませんが、週40時間を超えた部分は時間外労働の割増賃金を払うことになります。

 なお、午後10時~午前5時まで(地域や期間によっては午後11時~午後6時までの場合も)の時間帯に働いた場合は「深夜労働」となり、会社は25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。

 残業が深夜労働の時間帯に及んだときは、その部分は「時間外割増25%以上+深夜労働割増25%以上」で50%以上の割増賃金を払わなければなりません。