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山崎元のマネー経済の歩き方

複数の運用者を使いこなせるか?

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第196回】 2011年10月3日
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 年金基金のような大きな資金を運用する機関投資家の場合、一つのアセットクラス(「国内株式」などの資産の大分類)内で数社あるいは十数社くらいの運用会社を使うことが珍しくない。この場合、複数の運用会社をどのように使うかが問題になる。

 一般に指摘される問題は、(1)「合計」の管理の煩雑性、(2)相殺的売買による過剰な売買コスト、(3)合計が「インデックス化」してしまう傾向、などだ。

 率直にいって、多くの年金基金が過大な数の運用会社を使っていると思う。現実的には、1~2社の運用会社に大きく依存することの危険を分散する目的もあるので、狭義の効率性だけでは考えられない面もあるが、それにしても多い。一つには運用会社の商売に付き合っているということもあるだろうし、もう一つには年金コンサルタントあるいは基金の担当者自身の「仕事の創出」の影響があろう。

 複数の運用者を使う問題については、かつてのバー・ローゼンバーグ氏の論文が問題の定義も解答も、解答を実現する具体策についても書いた決定版だったと思う。

 筆者の理解で要約すると、ローゼンバーグ氏の結論は、「合計の状態」を重視することと、「個々の運用者が持っている情報を信頼性に応じてウエートづけして、これを反映した最適化として合計をつくることが理想だ」という。実現の仕組みとしては、マスタートラストという仕組みを使い、基金内部に実質的な取引市場をつくることを提言していたと記憶する。

 この際正直にいうと、そうまでして「情報・判断」を運用に反映する価値のある運用会社が安定的に存在するとも思えない。

 また、基金やコンサルタントが価値のある運用会社を事前に見抜くことは無理だ(事後では意味がない)。そもそも、そのような高度なスキルがあるなら、基金が自分で運用するほうがいいくらいだ。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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