核・ミサイル開発を続ける北朝鮮と、「予防攻撃」を示唆して抑え込もうとする米国との「チキンゲーム」はエスカレートするばかりだ。その行方はどこなのか──。

北朝鮮の核開発や「9・11」後のテロ対策などを、在米防衛駐在官や情報部長時代などに経験し、朝鮮半島情勢や安全保障政策を熟知する元海将の伊藤俊幸・金沢工業大学院教授は「二つのシナリオが考えられ、どちらも日本には難しいことになる」と話す。日本を覆う朝鮮半島リスクとは何なのかを聞いた。(聞き手 ダイヤモンド・オンライン特任編集委員 西井泰之)

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「核保有」と「核放棄」
米朝で前提が違う

──金正恩・北朝鮮労働党委員長と、トランプ米大統領の威嚇合戦が止まりません。

 実は、北朝鮮も米国も、お互い対話がしたいのです。北朝鮮が懸命に核を開発しているのは、米国と平和条約交渉をし、米国の「不可侵」を約束させたいからです。

 というのも、朝鮮戦争はまだ終わっておらず、平和条約を締結していないから心配で仕方がないのです。先代の金正日氏もそうでした。米国を、平和条約の交渉のテーブルに着かせるには、米国に届く核兵器を持つことだと。軍事介入を許して体制が崩壊したリビアのカダフィやイラクのフセインにならないように、米国と対等に交渉できるというのが、北朝鮮の根っこにある考え方です。それを受け入れるかは別にして、北がそう思っていることをベースとして理解する必要があります。