米欧で進む金融政策正常化議論、置いてけぼりの日銀が打つべき手米国と欧州の中央銀行がそろって金融政策の正常化を議論する中、将来のリスクに備えて日本銀行も対応策を考える必要がある Photo by つのだよしお/アフロ

 債務上限に伴う米政府閉鎖リスクは、議会の“先送り策”によって当面回避された。米財務省の資金繰りは、少なくとも来年3月までは支障が生じないもようだ。確率はまだ高くないが、4月15日まで持ちこたえられれば、給与税が入ってくるため、夏場まで政府閉鎖懸念は再燃しない可能性も出てくる。

 債務上限問題が米国債市場を混乱させる恐れは当面なくなった。そのため、米連邦準備制度理事会(FRB)は9月19~20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、10月からのバランスシート縮小開始を決定すると思われる。

 FRBが保有する国債や住宅ローン担保証券(MBS)を減額していくと、基本的にはこれまで圧縮されていた金利のタームプレミアムやリスクプレミアムが元に戻っていく。それは長期金利の押し上げ要因となるが、今のところ市場は落ち着いている。

 その理由としては、以下の3点などが考えられる。

 (1)ベン・バーナンキ前FRB議長がバランスシート拡大の段階的停止(テーパリング)を示唆してからすでに4年が経過しており、金融政策正常化に向けての“ガス抜き”が徐々に進んできた

 (2)すでに先行きのバランスシート縮小ペースのイメージをFRBは市場へ丁寧に伝えており、かつ当初はそのペースが遅い

 (3)最近の米国のインフレ率は弱めであり、短期金利(フェデラルファンド金利)の引き上げを含め、今はFRBが正常化策を急ぐ必要性がない