「食事」は健康格差を生き抜く最強の教養である
――医学的に正しい知識を武器に自分を守る

 現代を生きる私たちは、縄文人が生き抜くために備えていたDNAをそのまま受け継いでいます(詳しくは第4回 2017.9.28を参照)。消化・吸収のシステムも、それをコントロールする脳のシステムもなんら変わっていません。だから、本来であれば、縄文時代にはなかった食べ物は口にするべきではないのです。

 縄文時代にも、自然に生育しているそばなどの穀類も食べていたようです。だから、米や麦などの穀類自体は、私たちの消化・吸収システムにマッチしています。

 ただし、精製したものはありませんでしたし、穀類を大量に食べるという習慣もなかったはずです。ましてや、白い砂糖は存在していません。白い砂糖を溶かした液体を飲むことなど、縄文人にはあり得ないことです。そして、そのDNAを受け継いでいる現代の私たちにとっても、あり得ないことなのです。

 食糧の確保に苦労した縄文人は、「食べる」ことに関する作業に1日のほとんどの時間を費やしていたのではないかと思います。もちろん、それと同じことを現代人に求めているわけではありません。私自身、仕事が忙しく、ランチタイムなどゆっくりとることは不可能な状態です。

 ただ、そういう忙しい現代人の事情を逆手にとって横行しているビジネスがあることは忘れないでください。

「時間のないビジネスパーソンのために」とすすめられる、栄養ドリンクもスポーツ飲料も、縄文人のDNAを受け継いでいる私たちの体にとって、あり得ないものなのです。

 プロテインやアミノ酸のパウダーなども同様です。あり得ないものが体に入ってきたとき、あなたの体に何が起きるでしょうか。

「これ1本で1日分の野菜がとれる」というジュースには、肝心な食物繊維が不足しています。しかも、ものによっては、味を調えるために野菜以外の果物などの余計な糖分も入っています。1日分の野菜は、1日かけてちゃんと食べればいいではありませんか。

「手軽に健康」を求めて、手軽に不健康を手にしているビジネスパーソンのみなさん、どうか気づいてください。

 本当の健康が、手軽に自分のものになると思いますか。仕事だって、そんなに簡単ではないでしょう。人生においてもビジネスを成し遂げる上でも最も重要な健康は、食事をしっかりマネジメントしていく人だけが手にできるのです。

 健康格差社会を生きる上で、食事は「最強の教養」です。新刊『医者が教える食事術 最強の教科書』では、新しい「食の教養」について詳しく解説していますので、ご興味のあるかたはぜひ読んでみてください。正しい食の知識を身につけ、ぜひ自分の未来を守る武器にしてください。

(この原稿は書籍『医者が教える食事術 最強の教科書――20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)