タコツボから抜け出し
組織一丸のメッセージを

石井 ペイドメディア(広告)とソーシャルメディアでは、お付き合いの仕方が異なります。ソーシャルメディアで商品やサービスについてポジティブな言及をしてもらいたければ、書きたくなるようななにかを提示する必要があります。その際のコミュニケーションュニケーションの設計も重要です。

横山 その「なにか」というのは、話題性とはちょっとニュアンスが違いますね。私はそれを“talkable”と言っています。思わず友人に教えたくなる、つぶやきたくなるようなものです。

石井 “shareworthy”という言葉もあります。基本的に同じ意味ですが、誰かとシェアしたくなるような情報。部下たちには、「あなたがお客様に伝えようとしている情報は、お客様が友人に伝えたくなる内容になっていますか」と問いかけています。

――トリプルメディアを活用したコミュニケーションの成功に必要な条件とは?

横山 石井さんのお話のような先進事例も出始めていますが、全体的に見ると、タコツボのようなデジタルマーケティングが多い。ブランドごとに予算が配分されており、ブランドマネジャーが「予算が余ったからWebで使ってみよう」といって小さなキャンペーンをやってみるという具合です。これではスケールが出ませんし、会社全体の知見もたまりにくい。組織や予算上の工夫が必要でしょう。

 また、カスタマーリレーションとパブリックリレーションのオーバーラップ領域が拡大しています。これまでは広報と顧客対応は別々に行われてきましたが、ここにも横串を通す必要があります。

石井 広報や宣伝、顧客ポート、IRなどの部門が別々に運営されていても、これまでは問題ありませんでした。しかし、今ではIRの対象者である投資家もソーシャルメディアで情報発信します。各部門が言っていることがバラバラでは、ブランドへの信頼を獲得することは難しいでしょう。マーケティング部門だけでなく、全社的な組織を貫く横串や連携の重要性が高まっているのです。

この記事は「週刊ダイヤモンド」2011年10月15日号でも公開中です
この情報は2011年10月11日現在のものです