東証・名証一部上場のDVDレンタル最大手のゲオで不祥事が続出している。背後にあるのは、創業家出身の取締役と経営トップの確執だ。その全貌を明らかにする。(「週刊ダイヤモンド」編集部・松本裕樹)
「社長に就任したい」
今年5月下旬、取締役のこの一言から、ゲオの混乱が始まった。
発言の主は遠藤結蔵氏。共同創業者である故・遠藤結城氏の長男だ。
ゲオは今年3月、子会社リテールコムにおける循環取引や横領が発覚し、5月19日に外部調査委員会による最終調査報告書が提出されたばかり。その直後、遠藤氏は沢田喜代則会長に対して、社長就任を願い出た。
しかし、リテールコムの担当役員は誰あろう遠藤氏自身であった。常識的に考えれば、社長就任は難しい。それでも沢田会長、森原哲也社長らと話し合った結果、「1年後の2012年4月に社長就任する」ということで合意した。
遠藤氏は現在33歳。かつて22歳で日本マクドナルドに勤務したが、わずか7ヵ月で辞め、ゲオに入社。26歳の時、父親が突然の交通事故で逝去したため、将来の社長含みで取締役に昇格した。だが、社内で目立った功績はなく、社長就任を不安視する幹部は少なくない。
にもかかわらず、現経営陣が遠藤氏の要求を断れないのには理由がある。