中国でも活字離れが進む中
ニュースタイル書店が救世主に
拙著『鯛と羊』(海竜社)の中国語版が5月、上海の交通大学出版社から出版された。その関連で上海、北京、成都などの都市で開催された、サイン会や講演会に出席してきた。その旅中、非常に感心したことがいくつかあるのでご紹介しよう。
これまで、日本語で書かれた拙著の何冊かは中国や香港で翻訳出版されているが、中国が激変しているこの10年の間では初めての翻訳出版だ。その間、中国でも日本同様に活字離れが進み、閉店に追い込まれた書店が多い。インターネットが社会の隅々まで浸透しているほか、ネットビジネスも発達し、日本をはるかに上回るネット社会ができあがっているからだ。
こうした変化があるため、出版社や書店、ショッピングセンターなど、伝統的なビジネスとそれらのビジネスモデルは、時代への適応と脱皮が求められている。
そうした中、一つの新しい現象が起きてきた。
中国でも、日本の蔦屋書店のような、大型化した“ニュースタイル”の書店が人気を集めているのだ。上海の最も美しい書店と言われる「鍾書閣」、成都の「言又几」「九方」などはその代表的な存在だ。