その後、医薬品や医療機器などが続々と被災地に届き、多数の医師が応援に駆けつけた。しかし、愛媛県で訪問診療を行っているたんぽぽクリニック理事長の永井康徳氏は、宮城県気仙沼市での医療支援活動を通じて「医師や設備は十分でも、寝たきりなどで病院に足を運べない在宅患者への支援が足りないことを実感しました」と振り返る。

たんぽぽクリニック
永井康徳 理事長

 そこで永井氏は、現地の医師やボランティアとともに支援プロジェクトを組織し、在宅患者に対する訪問診療を行った。

「気仙沼に限らず、日本の地域医療は疲弊しており、在宅患者へのケアは不足しています。今回のプロジェクトが訪問診療体制を整備するきっかけになればいいのですが」と永井氏は語る。

 同じく気仙沼で支援活動を行ったドクターゴン診療所(沖縄県宮古島市)理事長の泰川恵吾氏も、被災地の家庭を1軒1軒訪ね歩いて訪問診療を行った。

「情報が寸断されて、どこに患者さんがいるのかが把握できず、患者さんにとっても、どこで治療を受けられるのかがわからない状況でした。だからこそ、待っているのではなく、患者さんの元に向かわなければならないと思ったのです」(泰川氏)

 泰川氏は、宮古島でも診療所から遠く離れた患者のために積極的な訪問診療を行っている。その行動力が被災地支援においても発揮されたのである。