週刊ダイヤモンド9月23日号の第三特集は「メガバンクの構造改革」。日本銀行のマイナス金利政策による本業不振や、業務の効率性を示す「経費率」の悪化など、収益環境が変化する中、メガバンクグループはそれぞれどの事業に投資して成長していくのか。みずほフィナンシャルグループが進めるシンクタンク機能の強化策について、リサーチ&コンサルティングユニット長・執行役専務の大串桂一郎氏に語ってもらった。(「週刊ダイヤモンド」編集部 田上貴大)

──2016年4月に、リサーチ&コンサルティングユニットを新設して、グループ内に複数あったシンクタンク機能を統合しました。1年間で、どのような成果がありましたか。

みずほFGでコンサルティング案件が倍増した理由大串桂一郎みずほフィナンシャルグループリサーチ&コンサルティングユニット長 執行役専務 Photo by Masato Kato

 まずリサーチ部門ですが、去年のトランプ米大統領の誕生やブレグジット(英国の欧州連合離脱)の決定など、企業の経営者に大きな影響を与える出来事が起こったとき、即日でレポートを書いています。

 その速さももちろんですが、複数のリサーチ部門が統合したことで、金融と経済への影響に加えて、経営者が最も知りたい自社の産業についての影響の3点を含んだレポートを出せるようになり、これが一定の評価を得ています。

 コンサルティング部門では、部門内の連携が進みました。象徴的な事例を挙げると、みずほ信託銀行のコンサルティング部隊が、ある不動産会社から地域開発の相談を受けたことがあります。話が進み、町づくりをしようという大きな展開になったところで、(経営コンサルティングの機能を持つ)みずほ総研の出番です。総研が自治体と連携する計画などをロードマップとしてまとめ、提案につなげています。

――他にも、ユニットが連携して進めている取り組みはありますか。

 一つ例を挙げると、健康長寿社会の実現というテーマを掲げて、ユニット内で連携して事業を進めています。