生活の条件には恵まれていそうなのにいつも「不満顔」で不平を鳴らしてばかりの人がいる。一方、毎日やっていることは大変そうなのに「幸福感」を感じて日々充実している人もいる。どうせなら日々幸福でいるコツをつかんで楽しく一生やっていけたらと思うが、いったいその秘密はどこにあるのだろう?ハーバード、スタンフォード、MITなどの膨大な研究成果から、人生を変えるさまざまな方法を紹介して話題となっているベストセラー『SINGLE TASK 一点集中術』では、そんな不思議な「心の秘密」に迫っている。本書から一部を特別公開する。

シングルタスカーは「幸福」、マルチタスカーは「不幸」!?

 神経遺伝学のデヴィッド・ゴールドマン博士によれば、「幸福になる鍵は、いまという瞬間にどっぷりとひたることにある」という。つまり、「一点集中すること」「シングルタスクで物事に取り組むこと」と「幸福」には相関関係があるのだ。

 科学者たちの説明によると、人は1つのことに専心しているときのほうが充足感を覚える。

「マルチタスク」をやめて、毎日「シングルタスク」を徹底することによって生産性が上がることは本書で何度も述べているが、それだけでなく、シングルタスクを実践していると、人はより深い幸福を感じられるのだ。

 2010年、ハーバード大学の研究者たちは成人の被験者2250人の「機嫌のよさ」や、「いまの作業にどのくらい集中しているか」などを、ランダムな間隔を置いて評価した。

 すると、仕事に熱心に取り組んでいる人ほど、幸福を実感していることがわかった。

 同様に、すぐに気が散ってしまう人ほど幸福を感じる度合いが低いことも判明した。

 心理学者ヴィクトール・フランクルが生きていたら、この説になにかつけくわえたかもしれない。彼は、「どんな状況に置かれていようと充実した人生を送れる人はなにが違うのか」を、生涯をかけて考えてきた。

 そして、2つの心のはたらきと幸福のあいだに強い相関関係があることをあきらかにした。その2つの心のはたらきとは、「人生の一瞬一瞬に生きる意味を見いだす能力」「結果にとらわれて自滅する生き方を放棄する能力」である。

 こんにち、快適な生活を謳歌している多くの人たちが、動画や写真などで楽しいできごとを記録することに夢中になっている。と同時に、そのときに起こっている出来事をきちんと体感しそこねている。

 あなたは「休日の一瞬一瞬を楽しむ」「人生の大きな出来事をしみじみと味わう」「五感をとぎすませて体験する」といったことより、「未来のいつかのためにスナップ写真をせっせと撮る」ほうを優先していないだろうか?

 そんなあなたの行動は、自らの信念にかなっているといえるだろうか?