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「生き証人」が語る真実の記録と教訓~大震災で「生と死」を見つめて 吉田典史

嗅覚を失うまで行方不明者を捜し続けた“小さな勇者”
災害救助犬が被災地で見た「とり残された弱者」の悲哀

――災害救助犬調教師・村田忍氏と救助犬・レイラのケース

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第9回】 2011年10月18日
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 3月11日の震災直後に現地に入り、命がけの人命救助を行なったボランティアと犬がいる。災害救助犬調教師の村田忍さんと災害救助犬・レイラは、自衛隊とともに宮城や岩手で生存者の捜索を続けた。

 だが、それはいつしか「遺体捜索」になっていく。さらに、東京電力の原子力発電所が爆発した福島では、人間の尊厳が踏みにじられている実態を目撃していく。

 今回は、村田忍さんに取材を試みることで大震災の「生と死」に関わる真実に迫りたい。


震災直後は涙を流す人さえいなかった
遺体を見つけて困った顔をする災害救助犬

3月11日の震災直後にボランティアとして被災地に入り、人命救助を行なった災害救助犬調教師の村田忍さん(上)。岩手県金ヶ崎町で犬、馬、ヤギなどがいる牧場を営んでいる(下)。

 「サーチ!」

 女性の声が響く。

 その数メートル前を歩く災害救助犬が、津波で破壊された家などのがれきの山に入っていく。臭いをかぎながら人を探し始めた。それを同行した自衛隊員や消防団員も見守る。

 警察犬は地面の臭いをかぎ、生存者や犯人などを探し出すのに対し、災害救助犬は空気中の臭いから生存者を発見する。

 しばらくすると、犬は皆のほうをじっと見る。背中の毛が逆立っている。災害救助犬調教師の村田忍さんは、こう語る。

 「あの場所では、遺体しか見つけられなかった。レイラは、生存者を探すように訓練されている。だから遺体を見ると、『どうしたらいいの?』と相談をするためにそばに寄ってくる」

 村田さんは、レイラの顔つきやしぐさなどからメッセージを感じ取る。それは、「発見したけどどうも違うよ」といったものなのだという。遺体には、腕や足がもぎとられているものがあった。村田さんは、ゆっくりと話す。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


「生き証人」が語る真実の記録と教訓~大震災で「生と死」を見つめて 吉田典史

震災から5ヵ月以上が経った今、私たちはそろそろ震災がもたらした「生と死の現実」について、真正面から向き合ってみてもよいのではなかろうか。被災者、遺族、検死医、消防団員、教師、看護士――。ジャーナリストとして震災の「生き証人」たちを詳しく取材し続けた筆者が、様々な立場から語られた「真実」を基に、再び訪れるともわからない災害への教訓を綴る。

「「生き証人」が語る真実の記録と教訓~大震災で「生と死」を見つめて 吉田典史」

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