中国政府はなぜEV普及に
力を入れているのか?

中国では自転車だけでなく、電気自動車(EV)のシェアリングも日常ですでに広く利用されている

 電子マネーや自転車シェアリングが急速に普及している中国。最近では日本でもメルカリやDMMがそのビジネスモデルに追従するほど、中国は世界のシェアリングエコノミー先進国となっています。そして今、中国はさらにその先に進もうとしています。

 なぜなら中国では自転車だけでなく、EV(電気自動車)のシェアリングも、すでに日常で広く利用されているからです。中国では近い将来、世界に先駆けてEVや自動車シェアリングが当たり前の世界が来るかもしれません。そこで今回、上海駐在歴10年の筆者が、「EVシェアリングサービスの試乗レポート」という形で、中国の最新事情を紹介します。

 中国では政府主導で、EVの普及に力を入れています。表向きの理由は大気汚染防止やCO2排出量の抑制といった環境保護ですが、本当は自動車分野を輸出産業にしたいという思惑があります。

 ガソリン車で日米欧の自動車メーカーの後塵を拝した苦い経験のある中国は、試行錯誤を繰り返しながら、先進国の自動車メーカーにとって脅威となるような力を付けてきました。それでも満足していない中国は、これから横一線でのスタートとなるEVこそ、世界で覇権を握りたいと考え、バッテリーや電子機器などEVの中核技術を手がける企業を多く育ててきました(参照記事:「中国が突然「ガソリン車禁止」を打ち出した本当の狙い」)。

 ところが、中国政府がEV普及の旗を振っているにもかかわらず、中国国内でEVがなかなか浸透しません。ハイブリッド車(PHV)を含めた新エネ車を合計しても、2016年の中国国内販売シェアはわずか2%にすぎません。「EVへの販売補助金」「(大都市ではなかなか手に入らないナンバープレートの)EV購入者への優先配布」など消費者向けのEV優遇策を実施しても、上手くいきませんでした。

 そこで中国政府が考えた(と思われる)のが、中国ビジネスの基本「他力を利用する」という作戦であり、その作戦は2つあります。