小池氏が記者会見で示した、築地再開発後のイメージ図。これも皮算用の産物

 では、住宅地としての価値はどうか。不動産のデータ分析などを手掛ける東京カンテイによると、駅周辺の築3~10年の中古マンションの流通価格の実績を、東京メトロ日比谷線築地駅、都営大江戸線築地市場駅、東京メトロ表参道駅で比較した場合、築地7457万円、築地市場8561万円、表参道1億2710万円と、かなり大きな差がある。

 いくら築地が銀座に近く、浜離宮恩賜庭園を望む「何物にも代えがたいロケーション」(小池氏)にあるとはいえ、住宅地として国内最高価格帯ともいえる表参道並みの価格を維持するのは、どう考えても無理である。

 ましてや、土地は都が保有し続け、その上にマンションを建てて定期借地で販売することになるが、こうしたいわゆる定借マンションの販売価格は、一般的に相場を2~3割下回る。現実的には、「表参道並み」から大きく離れた価格を想定すべきなのだ。

 さらには、供給戸数もネックとなりそうだ。

 中央区の都市計画図によると、築地市場がある土地の建蔽率は80%、容積率は500%だ。ある不動産の専門家の分析によると、試算で住宅地とされた5.9万平方メートルの敷地では、1戸当たり60平方メートルのマンションが約5000戸できる計算だ。

 つまり都の試算は、築地に5000戸のマンションを建て、全ての部屋が表参道並みの価格で売れるか、賃料で貸せることで、初めて160億円の地代収入が得られる、ということなのだ。

 ちなみに、築地に近い晴海では、20年の東京オリンピックのために建設される選手村が、大会終了後にマンションとして5000戸超分譲されることが、すでに決定している。それだけでも首都圏のマンション価格を大きく押し下げると懸念されているのに、築地でさらに5000戸のマンションを試算通りの高値で販売するのは至難の業といえるだろう。この専門家は「試算の前提は荒唐無稽。全く話にならない」と突き放す。

 なお、都の資料では、事業用地は後述する千客万来施設、住宅用地は港区北青山3丁目地区の土地価格をベースとした上で、貸し付け条件の制約を想定し貸付料を10%減額したとしている。

 しかし、表参道と築地では、前述のようにマンション価格の差は10%では済まない上、定期借地であるため販売価格も下がる。10%分減額した前提でも、50年間で160億円を稼ぎ続けられるとは言い難い。