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金融市場異論百出

中国で欧州企業が「わが世の春」
かたや存在感薄れる日本の深刻

加藤 出 [東短リサーチ取締役]
2011年10月26日
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 インフレ抑制のための金融引き締めの影響で、中国の第3四半期の実質成長率は+9.1%へと低下した。しかし、減速したとはいえ9%台である。先日行った北京は、上海以上にバブリーな空気が満ち溢れていた(富裕層は北京が最も多い)。路上にはフェラーリやランボルギーニが多数見られた。ある料理店では、日本製乾燥アワビが1個29万円で売られていた。

 欧州経済は財政危機問題で大揺れだが、中国でガッポリ稼いでいるしたたかな欧州企業は多い。ルイ・ヴィトンなどを擁する世界最大のラグジュアリーグループLVMHは10月18日、「世界の1~9月の売り上げはエクセレントであり、われわれの自信を裏づけた」と発表。BMW幹部も9月、「2008~09年のような金融危機が起きてもわれわれが損失を出すことはない」と超強気の発言を行った。中国など新興国需要が強いことが、それらの自信の背景にある。

 金融引き締めや補助金削減で今年の中国全体の乗用車販売は常識的な伸びにとどまっている。しかし、9月前年比はアウディ33.2%増、BMW20.9%増だ。一時期より伸びは落ちてきたとはいえ、ドイツメーカーは中国需要とユーロ安の恩恵を受けて、空前の「わが世の春」を謳歌している。

 メルセデス・ベンツの今年1~9月の日本での販売累計は2.4万台だった。大震災の影響は意外に小さく、前年比1.7%増だ。一方、中国での同期間の販売は13.6万台(32.8%増)。中国の名目GDPは日本を若干上回る程度であり、1人当たりGDPは約10分の1だ。そこでのメルセデスの販売台数が日本の5.7倍という現状は、やはり不自然である。

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加藤 出 [東短リサーチ取締役]

東短リサーチ取締役チーフエコノミスト。1988年4月東京短資(株)入社。金融先物、CD、CP、コールなど短期市場のブローカーとエコノミストを 2001年まで兼務。2002年2月より現職。 2002年に米国ニューヨークの大和総研アメリカ、ライトソンICAP(Fedウォッチ・シンクタンク)にて客員研究員。マネーマーケットの現場の視点から各国の金融政策を分析している。2007~2008年度、東京理科大学経営学部非常勤講師。2009年度中央大学商学部兼任講師。著書に「日銀は死んだのか?」(日本経済新聞社、2001年)、「新東京マネーマーケット」(有斐閣、共著、2002年)、「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」(ダイヤモンド社、2004年)、「バーナンキのFRB」(ダイヤモンド社、共著、2006年)。


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