マツダの新開発ガソリンエンジン
「SKYACTIV-X」

EV化に逆走!?マツダが理想のエンジン車開発にこだわる理由Photo:MAZDA

 10月「体育の日」の連休明けにマツダの次世代技術試乗取材会に参加してきた。場所は、山口県美祢市のマツダ自動車試験場(かつての美祢サーキット)でマツダが画期的な「HCCI(予混合圧縮着火)」という燃焼方式で新開発ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」を搭載した試作車を試乗体験してきたのだ。

 マツダは、8月に2030年を見据えた技術開発の長期ビジョン「サスティナブルZoom-Zoom宣言2030」で、この次世代エンジン・次世代プラットフォームを発表しており、内燃機関(エンジン)をマツダ独自に進化させて市場に問うことにしている。

 マツダは、内燃機関を排除してEV(電気自動車)へ移行という「時代の流れ」に対して、「内燃機関の目標として火力発電による発電がなくなるまでEVは不要といえるレベルを目指す」(人見光夫常務)というスタンスをとっている。火力発電の電気でEVを走らせるよりも、エネルギー効率の高いエンジン車を目指すというわけだ。

 その意味で新開発SKYACTIV-Xはディーゼルエンジンとガソリンエンジンの燃焼理論を融合し圧縮着火を実現。量産のメドをつけたのは世界初となる。「HCCI」燃焼方式は、独ダイムラーがコンセプト車を発表したことがあるが、まだ世界のどこのメーカーも量産化を実現できていないのだ。

 マツダは、2019年にこのSKYACTIV-Xの2.0リットルガソリンエンジンを搭載し、「人間中心の発想」をコンセプトとする「第二世代SKYACTIVビークル・アーキテクチャー」を組み合わせて、グローバル市場に投入する計画だ。

 これに先立って今回、9月のドイツ・フランクフルトのマツダ・モーター・ヨーロッパ(MMI)のデザイン・研究開発拠点でのXプロトタイプの試乗取材会を皮切りに、10月上旬は日本で開催。

 それ以降は、グローバル主要各地での展開を予定し「EV大転換」という最近の風潮に対して、「進化した画期的なエンジン」をアピールしていくことにしている。