海外の地方自治体、UberやLyft補助で財政倹約のしたたかさ米国の空港にはUber専用乗り場の標識が見受けられるなど、ライドシェアは市民の生活に急速に溶け込んでいる(写真は米ニューヨーク・ラガーディア空港) Photo:AP/アフロ

 日本は規制が厳しい国なので、Uber(ウーバー)やLyft(リフト)といったライドシェア(タクシー運転手に必要な免許を持たない人が自家用車で乗客を運ぶ配車サービス)は、いまだに認可されていない。

 それとは極めて対照的なのが、カナダや米国といった国々だ。財政支出を抑えるために、タクシーよりも大幅に料金が安いライドシェアを公共交通システムに積極的に取り込む試みが、地方自治体の間で始まっている。

 カナダ・トロント市郊外の街イニスフェイルでは、今年5月から住民がUberを利用する際に補助金を支給する試験プログラムを実施している。新たにバス路線を二つ運営するよりも財政負担が少なくて済むからだという。

 また、米ニュージャージー州のサミット市では、駅前の駐車場の混雑を緩和するため、住民がUberで駅に来る場合に補助金を出す試験プログラムを導入した。朝の通勤時間帯は大勢の住民が自家用車でサミット駅にやって来て、列車に乗り換える。しかし、駅周辺の駐車場は不足状態で、駐車するために数十分待たされることすらあるという。

 公営駐車場の1日の利用料は4ドル。そこでサミット市は、駐車場の利用券を事前に購入している人は自宅と駅を往復するためのUber利用料がタダ、購入していない人は片道2ドル(往復4ドル)でUberを利用できる、という制度を試験的に始めた。駅前の駐車場と同じ料金でUberを利用できるというこのプログラムがうまく機能すれば、自家用車を駅周辺に駐車する人が減ることになる。