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ビッグデータ時代を乗り切る
「ビジネス・アナリティクス」のすすめ

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第169回】 2011年11月2日
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 「ビッグデータ」という言葉を聞かれたことはあるだろうか。

 これは、現在デジタル技術の発達により、あらゆるところであらゆるタイプのデータが大量に生み出されていることを指し示す表現だ。厳密に言うと定義はいろいろあるが、われわれ自身の身の回りを振り返ってみても、コンピュータ上で閲覧するウェブサイト、そこでクリックするリンク、携帯電話でかける電話番号、知人に送るメールなど、信じられないほどのデータを刻々と生み出しているのである。

 これに交通のデータ、産業のデータ、天候のデータなどが加わると、この世界にはもう把握しきれないほどのデータが存在していることになる。「ビッグデータ」は今、テクノロジー業界のもっともホットな話題だが、その呼び方は、この大量のデータを一体どうしたらいいのかという、途方に暮れたニュアンスも含んでいるのである。

 そのビッグデータを企業の業績のために利用する「アナリティクス」の分野で、長い歴史を持つのがSASインスティテュートだ。35年前にノースカロライナ州で創業され、その後一度も業績を落とすことなく、しかも株式非公開企業として成長を続けてきたことでも知られる会社だ。

 SASは、ビジネス・アナリティクスのソリューションを、製造、流通、小売り、サービス、金融、ヘルスケア、教育、政府官公庁などに広く提供してきた。

 たとえば、航空会社ならば毎日何百本も運行する飛行機について、その乗務員を何人どの都市にどのタイミングで待機させるかのスケジューリングを行っているが、そこにはいつ天候が乱れて欠航になる可能性があるか、乗務員が取る休暇の割り当てがどう影響するかといったようなデータまで盛り込まれている。何種類もの予測モデルを駆使して、どんな不測の事態でもコストを最低限に抑えるのが目的だ。

 また大手デパートチェーンでは、オファーに反応する顧客を複数のモデルに従って分類することで、それぞれに最適なマーケティングを行い、コストの無駄遣いを減らす一方で、売上を伸ばすためのツールを提供している。

 さらに、自動車メーカーではSASのソリューションを導入することによって、拡大する前に問題を特定することを目的としているが、そこに用いられているのはコールセンターへの通話、部品販売数、保証期限内修理申請の種類など多種多様のデータである。

 要は、別々のところで蓄積されたデータであっても、それを統合するとそこに何らかのパターンが見いだされ、それをさらに別のデータと組み合わせて照合することによって、まだ見えない事象を予測することができるということだ。それをさらに他のデータと組み合わせて用いれば、売上を伸ばしたりコストをカットしたりすることにつながり、業績アップが図れるというわけである。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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