企業が永続するためには、次世代の経営幹部育成と社内変革が不可欠だ。経営幹部の育成には、実践を通じた意識改革が必要で、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(以下、MURC)では「ジュニアボード」という実践的な手法を用いる。北陸の優良企業であるスギノマシンに採用された事例を紹介する。

 スギノマシンの課題は、経営的視点で意思決定をできる幹部が少ない、ということだった。

 「専門性が高く、言われた仕事は実直にこなすが、近視眼的な傾向が強く、経営トップの指示を待つ組織風土でした。“自分で考えられる幹部”を育てなければ未来はない、という危機感がありました」と、同社の杉野岳常務執行役員は振り返る。

杉野 岳
スギノマシン 常務執行役員
経営企画本部長
兼 新規開発部長

 経営幹部の育成は経営承継の最重要課題であるが、単純に研修をすれば良いというものではない。相談を受けたMURCのチーフコンサルタント・小松創一郎が提案したのは、“ジュニアボード”という実践的な手法だった。“疑似役員会”とも言われ、実際の経営課題を解決するプロセスを通じて、経営的視点(全社最適解、当事者意識等)で考えることができるよう、意識改革を行っていく手法である。

 ジュニアボードでは、コンサルタントは参加メンバーに答えを示さず、課題解決の仕方のみを必要に応じてレクチャーし、メンバーが自力で答えにたどり着くように導いていく。

ジュニアボードの課題は模擬的なものではなく、本物の経営課題だったことに意味があった