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東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

杉並区――交通事故、空き巣、火災……閑静な山の手住宅街に忍び寄る「魔の手」

池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長],小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員],一般社団法人東京23区研究所
【第16回】 2011年11月9日
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 東京で交通事故が多い道路。そのワースト5は、環七、甲州街道、環八、青梅街道、明治通り。ここ数年間、4位と5位に順位の変動はあるものの、顔ぶれは変わってない。

 幸いにしてというべきか、これら5つの路線がすべて通る区はない。だが、4つならある。そう、杉並区だ。

閑静な山の手住宅区は
交通事故と放火のリスクが悩み

 杉並区の面積当たりの交通事故発生件数は、11位。やや多い程度である。しかし、交通事故100件当たりの死傷者数は23区で一番多い。交通事故100件当たりの死傷者数は地域間の差が小さく、そのため毎年順位が大きく入れ替わる。そんな中で、杉並区は過去3年間、不名誉なトップの座に居続けている。

 閑静な山の手の住宅地が広がる杉並区。そんな杉並区は、交通事故と並び、もう1つリスクを抱えている。放火だ。放火犯の認知件数は23区中最多を数える。

 さらに注意すべきは、放火が増えていることである。放火犯の認知件数は年によって変動が大きいので、2002年~04年の平均と2007年~09年の平均同士を比べることにする。

 結果は、23区全体では半数近くに減少しているのに対し、杉並区は4割以上の増加を示している。放火による被害も深刻で、焼損床面積に占める放火の割合は3割に迫り、23区で2番目に高い。

 閑静な住宅地に忍びよる魔の手といえば、空き巣も忘れてはならない。杉並区は、かつて「空き巣多発地帯」の汚名を被っていた。空き巣の被害がピークに達したのは02年。この年、侵入窃盗(その大部分が空き巣)の発生数は、23区の2位となった。

 03年8月、区は警察OBを非常勤職員に採用し、「安全パトロール隊」を発足させる。翌04年3月には、全国に先駆けて「防犯カメラの設置及び利用に関する条例」を制定する。

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池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長]

一般社団法人東京23区研究所所長。東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、㈱マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。

小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員]

一般社団法人東京23区研究所上席研究員。1978年より財団法人・東京都政調査会研究員、都市問題・自治体政策の研究に従事。87年より中央大学社会科学研究所・客員研究員、多摩地区の地域開発研究に従事。その後、フリーを経て現職。

一般社団法人東京23区研究所

東京23区をさまざまな角度から調査・分析している。マーケティングレポートなどを発行。HPはこちら


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東日本大震災を機に、自分が住む地域の安全性を気にする人が急増している。世間一般に「安全」と言われている街でも、そうとは限らない場合があるし、「リスクが高い」と言われていても、本当は災害への耐久力が強い街もある。実際のところ、あなたが住む街の安心・安全度はどうなっているのか。この連載では、地震、犯罪、火事、交通事故といった現代社会の4大災難を中心に、東京23区の「防災力」をあらゆる角度から分析する。豊富なデータを基に、「安心・安全な街」の条件を考えてみよう。

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