先月下旬、主要格付け機関がフォードの格付けを引き上げた。UAWと結んだ新しい労働協約も人件費の抑制に役立ちそうで、業績に寄与するだろう。いよいよ復配も視野に入ってきた。(文/ジャーナリスト、ポール・アイゼンスタイン)

最高財務責任者が
復配が近いことを示唆

 先月下旬、主要格付け機関は、フォードの社債格付けを引き上げた(今後さらに格上げが予想される)。同社は近い将来に配当を復活させる姿勢を示しており、これはさらに、低迷している株価の回復にもつながる可能性がある。

フォードとUAWは今秋、新たな労働協約を締結した
Photo:AP/AFLO

 フォードは全米自動車労組(UAW)との新たな労働協約により、実質的に人件費が抑制されると示唆しており、これを受けて、S&P及びフィッチ・レーティングスは、同社の信用格付けを最大「BBプラス」にまで引き上げた。これで、フォードのアラン・マラリーCEOがめざしている「投資適格」格付けまで、あと一歩である。

 これまでフォードが配当を復活させるのは、投資適格格付けを回復してからだろうと予想されていたが、同社最高財務責任者のルイス・ブースは、投資家との会合のなかで「(これ以上の格付け改善が)配当支払いの絶対条件というわけではない」と示唆した。

 アナリストらは、どの程度の配当になるにせよ、こうした動きはフォードにとって大きなメリットをもたらすだろうと見ている。オートトレンズ・コンサルティング社のチーフエコノミストを務めるジョー・フィリッピによれば、投資業界の一部、たとえば保険会社や政府系の年金基金などでは、四半期ごとに配当があることが投資の必要条件となっているという。