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“部品屋さん”を買って進化し続ける
グーグル買収戦略の凄み

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第171回】 2011年11月16日
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 グーグルは相変わらず新興企業を買収し続けている。

 たとえば、今年後半だけを見ても10社以上の企業を買った。その中には、携帯電話と通信技術開発のモトローラ・モビリティーや、レストラン情報のザガットなど、新興企業とは言えないものも含まれているが、それ以外は一般には名前も知られていないようなテクノロジーの新興企業ばかりだ。

 競合企業を手に入れた挙げ句にその技術を意図的につぶしてしまうような買収もあるが、グーグルの場合はたいていが、それで新しくサービスを始めるか、既存のサービスのどこかに統合される。つまりは、買収はグーグルの今後を占うひとつの指針にもなるわけだ。ここ最近の例を見てみよう。

 つい最近買収したのは、カタンゴ(Katango)という新興企業。この会社はスタンフォード大学の教授や学生によって作られたものだが、創設されて何と1年そこそこで買収されている。

 同社のテクノロジーは、高度なアルゴリズムの働きによって、ソーシャルネットワークでつながっている友人や知人を分類するもの。親密さとか、付き合いの長さとか、いろいろな要素を組み合わせて、自動的に分類するという。これはもちろん、グーグル・プラスに統合されるのだろう。自分のサークルに何千人もの知り合いがいても、その中をうまく泳ぎ回れるというわけだ。

 アプチュア(Apture)も最近買収した会社だ。これもまたスタンフォード大学から出てきた企業で、こちらは創設が2007年。同社の技術は、ウェブページの中での検索を可能にするもの。たとえば、アプチュアを統合しているメディアのページで、ある記事中の単語をハイライトすると、そこに小さなウィンドウが現れ、その単語の意味やそれに関するビデオや画像などが現れる。

 知らない単語を調べようと他のページへ移ったりすると、さらに別のページへ行ってしまって、そのまま戻ってこないということもあるだろう。だが、アプチュアがあればページの中にとどまったまま。ユーザーにとっても便利だし、ウェブサイトを運営する側にとってもビジターを失わずにすむというわけだ。これはグーグルのブラウザー、クロームに統合されるらしい。便利な機能をクロームにどんどん付け加えていって、利便性を増し、ブラウザー競争で勝とうという魂胆だ。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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