外食チェーンはあの手この手で“胃袋”を奪い合っている。せっかく店でおなかを満たすなら、料理と共にそのビジネスモデルまで味わい尽くしたくはないか。『週刊ダイヤモンド』11月11日号の第1特集「味から儲けの仕組みまで 外食チェーン全格付け」の拡大版として、「週刊ダイヤモンド」と別テーマあるいは未掲載箇所をたっぷり盛り込んだ経営者たちのインタビューをお届けする。第7回は回転寿司大手であるスシローと元気寿司の経営統合を主導する米卸大手、神明の藤尾益雄社長に聞く。(『週刊ダイヤモンド』編集部 大矢博之)

――9月29日、スシローと元気寿司の経営統合が発表されました。米卸大手の神明がなぜ回転寿司業界の再編を主導したのでしょうか。

スシローと元気寿司の経営統合はなぜ「米卸」が主導したのかふじお・みつお/1965年生まれ。89年神明入社。常務、専務を経て2007年より現職。13年カッパ・クリエイトホールディングス会長兼社長、14年元気寿司会長 Photo by Hiroyuki Oya

 まずわれわれが2012年に元気寿司に出資した理由からお話ししましょう。当時、私は出張先のインドネシア・ジャカルタで昼食を取るため、現地の回転寿司店を訪れました。回転レーンなどといった内装は日本の回転寿司店と変わらず、午後2時過ぎなのに行列ができていました。

 寿司を食べてみて、驚きました。日本の寿司と比べて遜色ない味だったのです。興味を持ったので寿司を分解し、シャリを調べました。どう見ても日本米ではなく、カリフォルニア米。そこは残念でした。

 海外でも回転寿司店がこれだけ流行っている。店の従業員も客も現地の人なのに、日本の回転寿司店と変わらない光景が広がっている。寿司は世界に広がると確信しました。