北朝鮮は9月15日の「火星12」の発射後2ヵ月間、弾道ミサイル発射を行っていない。従来、北朝鮮は米軍・韓国軍の共同演習を威嚇と見て、それに対抗しミサイルを発射、また国連の制裁決議に屈しない姿勢を示すためにもそうした行動を取ってきた。だが、トランプ大統領の11月5日からの日本、韓国、中国などの歴訪や日本海での日米、米韓海軍共同演習に対し、報道では口を極めた反発を示しつつ、軍事力の誇示を控えている。それはなぜかを考えてみた。
「核戦力の建設達成」は「中断」の弁明
米国の軍事圧力に一定の効果か
唐突だったのは、朝鮮の「労働新聞」が10月28日号の論評で「核戦力の建設は既に最終完成の目標が全て達成された段階にある」と報じたことだ。
その1ヵ月以上前の9月15日には、北海道上空を経て北太平洋に落下した「火星12」の発射実験を視察した金正恩国務委員長が、「(開発は)終着点にほぼ達しているので全力を尽くして終えなければならない」と語った、と北朝鮮で報じられた。
わずか1ヵ月そこそこで、何がどう変わったのか。10月28日に突然「核戦力建設の目標は全て達成された」と発表したのは、ミサイル実験を今後行わない、しばらく中断することの内外に向けての弁明ではないか、と考えられる。