財政赤字(国の借金)は2013年3月末に991兆円だったが、2017年3月末には1071兆円に膨らんだ。4年間で国の借金が約80兆円増加したわけだが、その一方で、企業の内部留保(利益剰余金)は2013年3月末の324兆円から2017年3月末には406兆円に増加し、同じ4年間で約82兆円増えた。

 内部留保の増加分は、財政赤字を増分とほぼ見合っている。つまり 政府が借金をしてさまざまな支出で(需要)を作りだしたり、減税をしたりしたその分は、結果的に、企業が内部留保としてため込み、赤字財政の「恩恵」が国民に行き渡っていないことを象徴している。

 アベノミクスの下で、法人税率は30%→25.5%→23.4%と引き下げられてきたが、その減税分が、社会保障の充実にあてられるはずの消費税率引き上げの増収分ほとんどを食ってしまう一方で、企業減税をしても内部留保が貯まるだけである。それでいて、総選挙直後に、榊原定征経団連会長は「痛みを伴う改革を」と社会保障の削減を求める。

 経済界が求める通り年金や医療や介護など社会保障を削っていけば、人は将来不安からますます消費を増やせないだろう。

労働分配率下がり消費停滞
求人倍率急上昇は少子高齢化の影響

 本来、デフレ脱却で大胆な金融緩和を求める「リフレ派」の主張する通りであれば、企業収益が増えたり、株価が上がったりすれば、大手企業の投資や富裕層の消費増が、中小企業や普通の人の所得増につながる「トリクルダウン」が起きて、消費が増えて物価も上昇していくはずである。

 ところが、内部留保が貯まる一方で、労働分配率は低下を続けている。

 そのためアベノミクスが始まって以降、実質賃金は基本的にマイナス基調が続いている。2017年に入っても、2月、5月、6月が対前年比でみてゼロ%、1~8月まで5ヵ月マイナスになっている。家計消費(2人以上世帯)も、2014年以降、マイナス基調が続き、2017年に入ってようやくプラスになる月が増えてきた程度である。

 そこで、政府はデフレ脱却の失敗を「道半ば」と言い続ける一方で、2017年9月期の有効求人倍率が1.52倍で3期連続、バブル期を超えたことを、アベノミクスの「成果」だと強調するようになってきた。