無理難題で疲弊する日々
システムの未熟さがブラックの原因

──なかなかハードですよね。

横田増生(よこた・ますお)/1965年、福岡県生まれ。アイオワ大学ジャーナリズムスクールで修士号。93年に帰国後、物流業界紙『輸送経済新聞』の記者、編集長を経てフリーランスに。著書に『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』(朝日文庫)、『評伝 ナンシー関「心に一人のナンシーを」』(朝日文庫)、『仁義なき宅配 ヤマトvs佐川vs日本郵政vsアマゾン』(小学館)などがある。

 もうね、ほぼムリですよ(笑)。大量の段ボールが置かれたバックヤードを走るのは、まるで障害物競走のようでした。豊洲店は幕張新都心店よりバックヤードが狭かったんですが、あるとき、探していたスタッフの頭上に段ボールが落ちたことがあった。たまたま中身がほとんど入ってない箱だったから良かったけれど、パンパンに詰まっていたらケガをしたと思いますよ。

──店舗の運営システムが現実の作業量に追いついていないからブラックにならざるを得ない、言わば「構造的ブラック」というような話ですが、不満の声はなかったんですか?

 転職組の人たちは、「おかしいんじゃない?」と口にしたりしてましたね。あと、取材で会ったユニクロを辞めた人たちは、退職後に目が覚めたようでした。「今の仕事は土日にちゃんと休めるんです」とか、「この仕事でこんなに給料がもらえるなんて!」とか、みんな感激してるんですよ。「いや、それが普通だから」って話なんですが。

 でも、外の世界を知らないで働いている人たちの多くは、僕には一種の宗教なんじゃないかと思えるくらいに信じきっているように見えた。

 たとえば16年11月のビックロでの感謝祭のときは、前年が不調だったために4日間から7日間に日程が増えたこともあって、本当にきつかった。7日目にもなると、さすがに休憩室でもみんなぐったりしてるんですが、40代くらいの地域社員の女性は、「感謝祭って人がいっぱい来て、チョー楽しいよねえ!!」って、大声でキンキン騒ぐんです。さすがに異様で、僕らバイトはドン引きですよ。この人もユニクロ一筋の職歴でした。