ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

品川区――出火と延焼のダブルリスクから区民を助ける「見守り、見守られる」関係づくり

池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長],小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員],一般社団法人東京23区研究所
【第18回】 2011年11月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 都市計画の用途地域は、区域ごとに建ててもよい建物、建ててはいけない建物を定めている。その中で準工業地域は、ほとんど何でも建てられる。実際は、都市計画が定められる前に、住工商が混在してしまっていた所が指定されることが多い。

 東京で準工業地域が多いのは、荒川、江東、墨田、大田、品川の各区。これらの区では、面積の3分の1以上を準工業地域が占める。いずれも東京を代表する町工場地帯だ。

住工商の混在地帯を襲う
出火と延焼の「ダブルリスク」

 首都直下地震で想定される品川区の焼失棟数は、1万1000棟。区内の建物の16%に及ぶ。品川区の火災発生要因には、他の区と異なる特徴がある。

 東京消防庁の予測によると、23区全体の震災時の出火原因は、電気関係が59%。ストーブなど火気器具が35%。化学薬品、工業炉、危険物施設など(以下「化学薬品等」と呼ぶ)は6%しかない。だが品川区は、化学薬品等に由来する火災が18%と、23区で一番高い。

 加えて品川区は、6時間後の延焼危険度が23区平均の1.6倍に上る。不燃化率12位、平均道路幅員8位、幅員13m以上の道路延長比率6位など、延焼遮断の都市構造の評価は決して低くない。

 にもかかわらず延焼リスクが高いのは、出火危険エリアと、木造の建物が狭い道路に沿って密集する延焼危険エリアが、重なっているからである。

 東京都が発表している火災危険度を地図に落としてみると、一目瞭然だ。危険度4以上のエリアは、西南部にかたまっている。というか、区の西南部は、そのほとんどが火災危険度4以上に塗りつぶされている。区の区分に従えば、荏原地区だ。東急3線の沿線一帯といえば、もっとわかりやすいだろう。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長]

一般社団法人東京23区研究所所長。東京大学都市工学科大学院修士修了。(財)東京都政調査会で東京の都市計画に携わった後、㈱マイカル総合研究所主席研究員として商業主導型まちづくりの企画・事業化に従事。その後、まちづくりコンサルタント会社の主宰を経て現職。

小口達也 [一般社団法人東京23区研究所 上席研究員]

一般社団法人東京23区研究所上席研究員。1978年より財団法人・東京都政調査会研究員、都市問題・自治体政策の研究に従事。87年より中央大学社会科学研究所・客員研究員、多摩地区の地域開発研究に従事。その後、フリーを経て現職。

一般社団法人東京23区研究所

東京23区をさまざまな角度から調査・分析している。マーケティングレポートなどを発行。HPはこちら


東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力

東日本大震災を機に、自分が住む地域の安全性を気にする人が急増している。世間一般に「安全」と言われている街でも、そうとは限らない場合があるし、「リスクが高い」と言われていても、本当は災害への耐久力が強い街もある。実際のところ、あなたが住む街の安心・安全度はどうなっているのか。この連載では、地震、犯罪、火事、交通事故といった現代社会の4大災難を中心に、東京23区の「防災力」をあらゆる角度から分析する。豊富なデータを基に、「安心・安全な街」の条件を考えてみよう。

「東京23区「安心・安全な街」~あなたが住む地域の真のリスクと防災力」

⇒バックナンバー一覧