彼の言う「目的」の意味は広く、むしろ「生きる意味」に近いように思う。自分が必要とされている気持ち、未来には今よりもっと素晴らしいことが待っている、という意識である。目的は幸せの源泉なのだ、と言う。

 待てよ。この話は中年以上の日本人にとって何か懐かしい響きを与えないだろうか。戦後の焼け野原から復興し、今日より明日は豊かな社会になっている。こうした希望はまさに幸せの源泉だったと思うし、日本社会の全員がその感覚を共有していた。

 しかし、社会に出たときから不況・デフレ続きで成長を経験してこなかった日本の若者世代にこの感覚はない。では、日本の若者世代が「自分は必要とされている」と感じ、「未来には自分を懸けられることが必ず待っている」と思うために今、何が必要なのだろうか。

 ザッカーバーグはこう続ける。「アイデアは完成してから目の前に現れることはない。アイデアの創生や実現に努力をする中でやっと少しずつ明らかになっていくものだ。最終的な目的地が最初から見えている人なんていない。とにかく始めるしかないのだ」。

 彼の言葉を借りれば、「世界規模の変化であっても最初は小さいところから始まる。最初は誤解されることを覚悟しよう。誰でも大きなビジョンで追い掛ける人は『狂っている』と思われる」という。