日本の家電メーカーは、この驕りによって韓国や中国のメーカーに負けた。いまでも日本製品のブランドは残っているが、グローバルのコンシューマ向け市場はサムスン、LGに押さえられ、通信機器やPCでは、HUAWEI、レノボ、ASUSに勝てないでいる。日本市場だけ見ていると実感がわかないかもしれないが、海外では「日本製品は品質が高い」という神話だけが生き残っており、市場では日本製品はほとんど見かけない。品質だけでは勝てないグローバル市場の現実だ。

EVは当面普及しないという楽観は
ガラパゴス携帯の失敗と同じ

 EVは当面実用化されない、という論調は最近は収まりつつあるが、充電スポットの整備や充電時間を考えて、EVの普及は相当な時間がかかるため、じっくり腰を据えてかかればいいという意見は根強い。これは総論としては間違っていない。たとえば、明日から世界中の内燃機関自動車の製造をストップしたとして、街中のクルマがEVに置き換わるには十年単位の年月が必要だ。

 しかし、現実にZEV規制(新車生産のゼロエミッションビークル比率)が始まれば、状況は変わってくるだろう。もちろんそれでも市場や産業界が追従せず、普及しない可能性もある。現在の基準で判断するのは危険だ。

 これと本質的に似た状況で、結果失敗をしたのが通信事業者と携帯電話メーカー。いわゆるガラパゴスと言われた現象だ。

 ガラパゴスについて改めて説明するまでもないと思う。

 グローバルで進む通信事業の分社化、オープン化を否定し、独自の機能品質にこだわったガラケーエコシステムとその崩壊に至る一連である。NTTなど通信キャリアの解体(分社化)ができないため、メーカーは端末ビジネスを放棄せざるを得ず、キャリアはARPUビジネス(ユーザー当たりの利益)から抜け出すことができず、直営店舗でさえあやしげな抱き合わせ契約と、高価な端末の分割払いでユーザーの囲い込みに腐心している。しかも売れている端末は海外製品ばかりだ。

 思えばかつて、通信事業者や端末メーカーも「スマートフォンは時期尚早」「端末と回線を切り離すと品質が維持できない」「iPhoneや中国製品に脅威となる新技術はない」などと豪語していた。どれも当時の市場環境からすると間違いではなかった。しかし気がつけばこの有様だ。日本は、世界有数の通信インフラと関連要素技術を持ちながら、国際競争力を発揮できないどころか、国内でも凡庸な商用環境しか提供できていない。