なぜ「食べ放題」や「ビュッフェ方式」の店が潰れずに儲かるのか

街にはさまざまな外食のお店が立ち並んでいる。店には流行り廃りもあるが、いつも人気なのは食べ放題の店。食欲旺盛な客ばかり集まってきて、本当に儲かっているのか心配にもなるが、どうしてつぶれないのだろうか。その秘密を探ると、意外なビジネスモデルが見えてくる。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)

食べ放題の店でも
固定費は増えない

 企業のコストは、「固定費」と「変動費」に分けられる。変動費とは、売り上げが増えるとコストも増える部分であり、レストランでいえば材料費が代表的なものだろう。一方の固定費は、売り上げに関係なくかかる費用であり、レストランでいえば店を借りる費用、つまり家賃や正社員の給料などである。レストランの場合、材料費が売り上げに占める比率は高くないといわれているので、ここでは3分の1としよう。

 普通のレストランでは、1500円の料理を提供しているとすると、変動費は500円である。客が1人も来ないと、レストランは固定費分だけ赤字になる。客が1人来るたびに、1500円と500円の差額である1000円分ずつ赤字が減っていき、いつかは黒字になる。

 黒字になるために必要な売上高を「損益分岐点」と呼び、それを超えれば客が1人増えるたびに利益が増えていくことになる。