「○○セット」といったセットメニューはお得だと思っていないだろうか(写真はイメージです)

 プレミアムフライデーが危機に瀕しているらしい。経済産業省の旗振りで始まったこれは「月末の金曜日に、日常よりも少し豊かな時間を過ごす」という触れ込みだった。

 ストレートに言えば、個人消費喚起のための声かけであり、居酒屋や飲食店も、ひとまずこれに乗っかったサービスを打ち出したが、お世辞にも成功しているというモデルの話は聞こえてこない。「そもそも月末の金曜なんて早帰りできるわけないだろう!」という多くのビジネスパーソンの嘆きがようやく届いたのか、「月初に変更されるのではないか」という説も出ているようだ。

 月末でも月初でもいいが、政府や経団連の偉い人たちは、「どうすれば人にお金を使わせられるか」についてじっくり研究したほうがいいだろう。GDPを押し上げたり、政府のお役に立てるレベルではないが、どんな時に人はお金をつい使ってしまうのか、その心理につけ込む店側の戦略について考えてみた。

ありふれたスタンプカードが
お宝に変身?

 初めてのカフェや飲食店で、「ポイントカードをお作りします。スタンプが10個貯まると500円引きになりますよ」などと言われるのは日常茶飯事で、「別にいいよ」と断る人も多いだろう。しかし、もし店側が「本当は一会計でスタンプ1個なんですけど、最初なんでサービスで3つ押しておきますね」と言われたら、気分はやや変わる。もし最初に押されたスタンプが1個なら押されてないのも同然で、カードごとゴミ箱行きでもいいのに、3つ揃うと俄然もったいなくなる。今あるスタンプをこのまま無駄にするのはソンだと感じてしまい、その後もせっせと店に向かってしまうかもしれない。

 一度手にしたものはなかなか手放せないという心理を「保有効果」というが、この3個のスタンプが妙に惜しくなるのがそれだ。店にとってはスタンプのインク代程度のこと、痛くもかゆくもない。初めての客全員に3個押して、うち数名が通ってくれれば御の字だろう。

 飲食店がサービスでくれる、次回使える割引クーポンや1品サービス券も根っこはこれと同じ保有効果を狙っている。すでに自分の手元にある「安くなる」「タダでもらえる」権利を、無駄にしたくないとつい思うからだ。