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逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

其の2「覆われているもので
現わされないものはない」(新約聖書)
「隠蔽の天才」と言われた私を変えた

江上 剛 [作家]
【第2回】 2011年11月29日
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人生2回も強制捜査を受ける

 ある時、人生で2回も捜査当局の強制捜査を受けたのは、江上さんぐらいのものじゃないですかと記者に言われたことがある。

 1回目は1997年の第一勧銀総会屋事件、2回目は2010年の日本振興銀行検査忌避事件だ。両事件とも逮捕者や自殺者を出し、世間を大きく騒がせた。

 私は、両事件の収拾に主体的に取り組んだが、それは文字通り命がけだった。毎日、行くところどこでも、自宅も会社も記者に囲まれた。問題の把握に努めたが、なかなかうまくいかない。先が見えない。頭がおかしくなり、本当に死ぬかと思った。運が悪いなと何度も嘆いた。しかし、なんとか向こう岸に辿りつこうと必死で船をこぎ続けた。

 振り返って見ると、開き直るわけじゃないけど、並みじゃない凄まじい人生だなと思う。

 最近、ある大手企業の社員からイベントのコメンテーターに呼ばれた。なぜ私を選んだのかと彼らに聞いた。すると、「江上さんは修羅場を生きてこられたにもかかわらず明るいですからね。私たち、今、閉塞感があるんです。それをガツンと打ち破るような話をしてください」と彼らは言った。

 イベントは、幸いにもビジネスマンで満員御礼だった。彼らの期待に応えたコメントが出来たかどうかは疑わしいが、私の人生経験が現役のビジネスマンのお役に立てたことは嬉しかった。

 他人から見れば凄まじい修羅場人生だが、見方を変えれば愚か者に過ぎない。しかし、自信を持って言えるのは、誰にも恥じない生き方をしてきたことだ。

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江上 剛 [作家]

えがみ ごう/1954年1月7日兵庫県生まれ。本名小畠晴喜(こはた はるき)。77年3月早稲田大学政経学部卒業。同年4月旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地などの支店長を歴任後、2003年3月同行退行。1997年に起きた第一勧銀総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力する。『呪縛 金融腐蝕列島』(高杉良作・角川書店)の小説やそれを原作とする映画のモデルとなる。2002年『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。以後、作家に専念するも10年7月日本振興銀行の社長に就任し、本邦初のペイオフを適用される。


逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

作家・江上剛氏は、その人生で2回も当局による強制捜査を経験した。その逆境にあって、心を支えくれたのが、「聖書」「論語」「孫子」などの古典の言葉である。ビジネス界に身を置けば、さまざまな逆風にされされることも多い。どんな逆境にあっても、明るく前向きに生きる江上剛氏が、柔術ならぬ“剛術”で古典を読み解き、勇気と元気の“素”を贈る。

「逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―」

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