激変!エネルギー最新事情
【第17回】 2017年11月29日
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ダイヤモンド・オンライン編集部
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期待の国産資源・メタンハイドレートの開発研究はここまで進んだ

船上生産設備全景 

 その最大の理由は、採掘コストの問題だ。

 エネルギー業界に詳しい、サークルクロスコーポレーションの塩田英俊シニアアナリストは「メタハイからのメタンガス採掘コストは1バレルあたり200ドル以上かかると言われています。一方、サウジアラビアの世界最大の油田と言われるガワール油田は10 ドルを切っています。井戸を掘れば、勝手に吹き出す既存の石油や天然ガスに比べると、どうしてもコスト高になる。メタハイからメタンガスを取り出し、海底から吸い上げる必要があり、コンプレッサーやポンプを稼働させる発電のエネルギーが別途必要になってしまう」と解説する。

 つまり、メタハイを採掘するためには、別に発電装置などを動かす石油などのエネルギーが必要となり、どうしても割高になってしまうのだ。

生産データの監視作業

 また本格的な商業化のためには、海洋から陸上まで効率的に輸送する手段をどうするかという問題も生じる。その方法として、海上輸送のほかにパイプラインの設置などが検討される可能性があるが、ここでもコストの問題が大きなハードルとなるだろう。

 「現状を見る限り、メタハイは在外型のガス田が枯渇するまで経済的優位性はまったく期待できません。たとえ効率的な生産技術が確立されたとしても、在来型の天然ガスのコストがもっと下がる可能性が高い」(塩田シニアアナリスト)

「対中包囲網」も意識!?
政治的・外交的な問題が強い

 とはいえ、塩田氏は「メタハイは子孫のための資源。日本の将来や外交面などから考えて、生産技術の開発がまったく不要だとは思わない」とも指摘する。 

第2回海洋産出試験時のフレア 

 複数の関係者によれば、「実はメタハイの研究開発は純粋なエネルギーの開発問題という面よりも、中国などの近隣諸国との排他的経済水域の問題や安全保障問題、他国とのエネルギー交渉時のツールといった政治的、外交的な問題をアピールする“実績”としての側面が強い」という。

 折しも、2017年5月に報じられた中国による「南シナ海でのメタハイの採掘成功」のニュースに対し、関係者らの関心は非常に高い。

 こうした事情もあってか、日本が今後、予定しているとされるアメリカやインドとの共同研究も「政治的にも、技術的にも“対中包囲網”を意識している」という声もある。

 いずれにしても、メタハイの生産技術の開発は「日本が世界で一番進んでいる」と自負する研究者が多い。「技術開発の面で中国をはじめ、他国には絶対に負けられない」と考えているのは事実であり、今後も「燃える氷」を巡る技術開発競争から目が離せない。

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原子力発電所の再稼働のメドが立たない今、エネルギーの安定的な確保ができるかは国民生活にとって非常に重要な意味を持つ。国内ではスマートコミュニティや大型蓄電池、太陽光発電に代表される再生可能エネルギー、地熱発電、メタンハイドレートなど、さまざまなエネルギー源の実用化へ検討が進められている。エネルギーに関する最新事情をレポートする。

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