マツダとの業務資本提携調印式での豊田章男社長 Photo:TOYOTA

「異例の形」だった
トヨタの人事発表

 トヨタ自動車は11月28日、2018年1月1日付けの新体制を発表した。トヨタでは本来、1月1日付けの人事は部課長級であったが、今回、副社長・専務役員・常務役員を含めた役員級人事も前倒しした。そのタイミングはもとより、副社長を2人増やして6人副社長体制を復活させ、このうち1人をデンソー副会長からあてるなど“異例の形”で決行した。

 この人事は、自動車産業が大きな変革の下にある、という経営環境への認識が強まったことが背景にある。特に異業種の参入などで競争のルールが変わってきたことに対し、トヨタとして強い危機感があり、よりスピードある執行体制への転換に迫られたものだ。

 また、11月にはトヨタ自動車として創立80周年を迎えた。豊田章男体制も就任から来年6月で10年目に入るという節目にもなる。

「トヨタは未来のために今を変える覚悟が必要。今後、目指すべきは既存の枠にとらわれない『未来のモビリティ社会の実現』だ」と言う豊田章男社長の意思の下、「グループ総力の結集」が新体制に如実に示されたともいえよう。

 筆者はかつて、ある自動車メーカー首脳から「トヨタの強みの源泉はどこにあると思うか」と問われ、「それはトヨタが常に危機感を醸成しているから」と答えたことがある。

 とはいえ、電動化・知能化・情報化という荒波によって、「自動車メーカーが消える」と言われるほどの自動車産業構造の大転換時代を迎えていることには違いはないが、業界内では「そこまで変革するか」との驚きの声も出ている。

 最近の豊田章男トヨタ自動車社長の発言は、「海図なき戦いが始まった」と、従来以上の「強い危機感」をにじませるものだ。