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日本メーカー・テレビ事業敗北の先
テレビへの郷愁捨て
「どこでもスクリーン」的領域を切り開け

井上弘基
2011年12月5日
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日本の家電メーカーの当事者ほど、テレビセット事業を絶対視するが、単純合併的な再編ではジリ貧がみえみえである。再生には事業・製品のあり方を、テレビから「どこでもスクリーン」のシステムに転換するような飛躍が必須であり、そこに向けたエンジニアリングの底力が問われている。テレビは今こそ「跳ぶ」べき時である。(機械振興協会経済研究所情報創発部部長 井上弘基)

テレビはもはや電子機器の主役にあらず
「遠くにありて想うもの」の時代が来た

 パナソニック、ソニーなど、日系テレビセット事業の大幅赤字とリストラ策の底流をどう捉え、どう事業を再生していくかに関しては、当事者ばかりでなく日本全体の関心も高い。

 ありきたりの再建屋パターンは、安易に「A社+B社」という再編成を考えるだけ。そんな案では、産業革新機構の支援があろうがなかろうが、問題の本質を射抜く仕掛けと一体でない限り、再生はおぼつかない。そもそもテレビセット(以下テレビ)事業の位置づけはどうなっていたか?

 部品(57兆円)と完成機器(セット108兆円)を、あえて合算した世界電子工業(ハードウエア)生産の前回ピークは、2008年で165兆円であった。そのうち、薄型テレビは10兆6000億円強、電子工業全体の6.4%強、セットのうち10%未満である(JEITA「電子情報産業の世界生産見通し」2010年12月刊)。パソコン(PC)22兆円強の半分未満で、携帯電話15兆円にも及ばない。

 実はテレビだけでなく、テレビのほかの音声・映像機器などを含めたいわゆる「民生用」電子機器(AV機器)というカテゴリ自体が、同年に世界全体では21兆1000億円(電子工業全体の13%弱、セットのうち20%弱)であり、PCを含む「コンピュータ等」44兆7000億円、携帯等を含む「通信機器」30兆5000億円などのカテゴリを下回るようになって久しい。これはラフにいえば、90年代IT革新期からの傾向であり、世界におけるわが国電子工業の地位没落と、ほぼ軌を一にしてきた。

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