JINSの「自分を知る」センサー付きメガネが見据える働き方改革井上一鷹・ジンズJINS MEMEグループマネジャー Photo by Masato Kato

 目の前の物を「見る」のではなく、自分の脳や体の状態を「知る」ことができるメガネ──。

 従来のメガネの定義を根本から覆したのは、メガネメーカーのジンズが開発したJINS MEME(ジンズ・ミーム)だ。「メガネを視力矯正の道具としてではなく、ヘルスケアのデバイスとして開発し提案した」(同社JINS MEMEグループ マネジャーの井上一鷹)のである。

 ジンズ・ミームの仕組みはこうだ。鼻の当たる部分に搭載されたセンサーがまばたきの回数や黒目の動く速さを検知し、耳の当たる部分に搭載されたセンサーが体の傾きを読み取る。それらのデータがスマートフォンの専用アプリにリアルタイムで送信されて解析され、脳や体の状態を「見える化」して知らせてくれるのだ。

 まばたきの回数からは集中の度合いが分かる。平常時は1分間に20回程度だが、集中しているときは3~4回になるという。黒目の動く速さからはリラックスの度合いが分かる。リラックスしていると黒目の動く速さは一定に保たれるが、例えば眠くなると動きがゆっくりになる。体の傾きからは集中の度合いや健康状態が分かる。姿勢が悪いと集中は長続きせず、認知症の人は後傾気味の姿勢になりやすいという。

 そもそも、なぜメガネメーカーのジンズが、物を見るメガネではなく、自分を知るメガネを開発しようと考えたのか。