ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
山崎元のマルチスコープ

サブプライム問題で儲けたのは誰か?

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第1回】 2007年10月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 米国シティグループなど複数の大手金融機関が共同で、サブプライムローン関連の資産を買い取るために750億~1000億ドル規模の支援ファンドを設立する検討をしているとの報道があった。

 このファンドの意図は、サブプライム関連の処分売りによって保有資産の価値がさらに下がり、損失が拡大するというスパイラル的な負の拡大を避けようとしたものであろう。ただこれは考えてみると、自分の資産の値下がりを防ぐために自分で買い支えをする形だ。それを直接やるのは格好悪いので、皆で金を出し合い、ファンドで行なえば、何とか格好はつくのではないかという話にみえる。日本のバブル崩壊の頃に、株価が下落すると困るので皆で買い支えようとした話と似ていて、日米、考えることはそう変わらないようだ。

 一方で、このニュースを聞いて考えついたのは、このファンドで確実に得をするのは誰なのか、ということだ。サブプライム資産の下落が止まれば、端的にいって、銀行の現経営陣が得をする。しかし銀行自体の最終的な損得で考えれば、サブプライムにまた金を投入するわけだから、リスクをさらに拡大させる可能性もある。

野村の巨額損失の裏で儲けた人間も

 今の損失の拡大を防ぐためには、これが最良の手段なのです、と株主を納得させることができれば、結果として得をするのは今の経営者だ。なぜなら経営者は、一時的に損失を止めておけば、当分の間少なからぬ報酬がもらえる。

 これに関連して、野村ホールディングスがサブプライム問題の影響により、1~9月で総額1456億円の損失を蒙ったという報道が新聞に出ていた。野村も、アメリカ進出では何度も損をしており、野村にとって米国ビジネスは鬼門かなとも思うのだが、その要因については他の場で論じるにして、別の視点から考えてみる。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


山崎元のマルチスコープ

旬のニュースをマクロからミクロまで、マルチな視点で山崎元氏が解説。経済・金融は言うに及ばず、世相・社会問題・事件まで、話題のネタを取り上げます。

「山崎元のマルチスコープ」

⇒バックナンバー一覧