デジタルコンテンツのサブスクリプション(定額契約制)モデルがジワジワと広がりそうな気配を見せている。

 サブスクリプションというのは、たとえば月額いくら払えば映画が見放題、音楽が聴き放題といったサービスだ。年額契約のこともあるだろう。現在ならば、音楽で言うと、iTunesストアのように楽曲1曲あたり1.29ドルなどを払って購入するものというのが広く知られた方法。だが、これに対してサブスクリプションモデルはドンブリ計算的な課金方法だ。

 以前、この欄でも取り上げたことのあるスポティファイは、音楽のサブスクリプションサービスとしてよく知られている。その後も人気をどんどん増し、有料契約者は250万人にも拡大している。

 スポティファイは3段階のサービスを提供し、ひとつは無料、残り2つは有料で月額4.99ドルと9.99ドルだ。無料は聴ける楽曲の数や利用時間に制限があり、有料サービスでは音質や、モバイル機器でも利用できるか、オフラインでも利用できるかで違いがある。同じような音楽のサブスクリプションサービスには、ラプソディーやズーンなどがある。

 映画でサブスクリプションモデルを持つのは、ネットフリックスやブロックバスターなど。一度に借り出しできるDVDの枚数で月額契約料が変わるが、効率よく借り出し返却していけば、かなりの数の映画が見られるものだ。

 ただ、DVDを物理的に借り出すのではなく、ストリーミングサービスに目を転じると、こちらは確実にサブスクリプションモデルが優勢だ。ネットフリックスは、月額7.99ドルで見放題。ムービーフリックスは、無料と月額11.95ドルのモデルを提供。アマゾンは、有料のプライム会員(年額79ドルで、アマゾン商品の無料配送などのサービスを提供)には、タイトルが限定されているものの、やはり映画見放題のサービスを提供している。

 テレビ番組では、フールーがやはりサブスクリプション・モデルで運営、映画も含み月額7.99ドルで見放題だ。ケーブルTV各社も、契約者に対してインターネットによるストリーミングサービスに乗り出しており、これもサブスクリプションモデルと言える。

 こと音楽と映画については、現在はさまざまな配信、課金方法が混在している状態になっている。従来通り、楽曲や映画を購入してファイルをダウンロードし、「所有する」モデルがひとつ。所有せずに「レンタル」するモデルも映画にはある。オンラインならば、何日後には借りたファイルが消滅するとか、見始めたら何時間内に見終わらなければならないといった条件がつく。音楽では、インターネットラジオのようなサブスクリプションに似たモデルも存在する。

 それ以外に最近は、ストリーミングサービスで「視聴する」モデルが音楽、映画の両方に出てきた他、クラウドサービスを同時に提供して、クラウド上のストレージに自分のファイルを保存してそこから利用したり、それと購入する所有モデル、ストリーミングで視聴するモデルを組み合わせたりするケースもある。グーグルやアマゾンはここに進出している。